雲南での交流が楽しい!! ~イイトコ発見プロジェクトの他にはない魅力について聞く~

2020.10.23


雲南市では現在、「雲南コミュニティキャンパス」という取り組みが行われている。大学生が実際に雲南市を訪れ、地域の中で生活しながら学び、実践していくというものだ。毎年、多くの大学生が雲南市で学んでいる。

多くの活動がある中で、今回はイイトコ発見プロジェクトについて紹介したい。

イイトコ発見プロジェクトでは10日間、雲南市の、ある地区に滞在する。地域住民との交流や地区散策を通じて、地域の良いところを見つけて付箋に書き出し、8分野に落とし込む作業を通じて分析してゆく。そして、良いところをさらに改善するアイデアを出し合い住民の方に提案する。

学生が活動を通して成長するだけでなく、学生と住民の交流の中で住民が良さを改めて認識したり、地域の可能性を感じて主体的な行動を起こす機会が生み出されている。

実際のプロジェクトの日程の例↓

日程 行程 詳細
1日目 オリエンテーション
2日目~6日目 地区探索地域活動 〇中山間地域を散策
・小グループで地域散策
・住民宅訪問
・地域イベント参加(サロン、稲刈り、お祭り)
〇それぞれが感じるイイトコの抽出
・その日、発見したイイトコをラベルに書き込み、共有。
〇自己の学びと成長の振り返り
・その日の学びと成長を毎日、振り返る。
・住民さんや仲間のまねしたいイイトコ ベスト3
・今日自分ができたこと ベスト3
・明日挑戦したいこと ベスト3
・フィードバック
7日目 アセスメント 〇集計、アセスメント
 見つけたイイトコを地域を捉える視点の枠組み「コミュニティ・アズ・パートナーモデル」の8項目に分類、アセスメント
〇コミュニティ・アズ・パートナーモデル全8項目を統合し、地区全体を捉える。
8日目 発表会 〇発展の道筋をプランにする
 発見したイイトコをさらにイイトコにできる方法を考える。
〇地区の方へ発見したイイトコとプランを提案
9日目 自由散策
10日目 クロージング 10日間の振り返り

 

今回、唯一4年間イイトコ発見プロジェクトに参加した伊藤薫さんに取材することができた。伊藤さんは大学一年生時にイイトコ発見プロジェクトに参加し、その後3年間スタッフとして活動に携わった。

(伊藤さんのプロフィール)
三重県いなべ市出身。島根大学への進学を機に島根県で暮らしを始める。大学入学後はサークル活動を中心に地域のイベントやボランティアに積極的に参加。現在は島根大学を卒業し、「地域おこし研究員」という肩書きで、慶應義塾大学院に通いながら、邑南町の地域おこし協力隊として働き、同地を舞台に「関係人口」について研究している。

<参加のきっかけ>
伊藤さんがプロジェクトに参加したきっかけは、福祉への興味からだった。

伊藤さん「イイトコ発見プロジェクトは、地域医療に関心を持つ看護学生の方が始めたもので、プロジェクトが始まったころは、病院見学や地域で行われている健康サロンへの参加など、医療、福祉の側面が強いものでした。」

また、ボランティアにも興味を持っていた。

伊藤さん「震災ボランティアや障害者福祉のボランティアに興味がありました。ボランティアは困っている人の手伝いをすることだと思っていますが、島根県において“困っていること”というのは地域にありました。福祉に関わり、地域へのボランティアもできるということから、参加を決めました。」

<プロジェクト参加で、地域の見方が変わる!>
イイトコ発見プロジェクトに参加すると、地域の見方が変化するそうだ。

伊藤さん「初めのうちは ”川が綺麗” “道が広い” “自然がきれい” など目に見える表層的な情報が多かったのですが、活動が進むにつれて “〇〇で育てている~が良かった” “~といった考え方が良い” など、個別具体的な話が多くなっていきましたね。目に見えるものだけでなく、地域の人から話を聞く中で歴史や文化まで視野が広がりました。」

このように、活動を進める中で地域を見る視野が広がっていくという。


<イイトコ発見プロジェクトの他と違った面白さ>
伊藤さんは、4年間毎年参加した理由として、他の活動と大きく違ったプロジェクトの活動内容を挙げる。

伊藤さん「大学などで行う地域の課題解決は、課題を探してそれをいかに解決するかというようなプロセスを踏みます。つまり地域の悪いところを探していくことになるわけです。地域住民の方は生活を否定されていると感じる場合もあり、解決するための実際の行動にも繋がりにくい部分があります。

一方で、イイトコ発見プロジェクトでは、その名の通り地域の良いところを探していくという活動を行います。地域の人は自分がやってきたことが間違いではなかったという自信を持つことができ、積極的な行動に繋がります。これまでとは違ったこの方法が面白いと感じると共に、これまで良いところを見つけるという視点が欠けていたことに気付きました。」

さらに、参加者によって着目する場所が違ったことも面白かったと語る。

伊藤さん「学年や専門分野、これまで生きてきた環境が違う学生がイイトコ発見プロジェクトという1つの環境のもとに集まるんです。同じものをそれぞれの視点から見ていることに気づきました。住民の方にお話を伺うときに農業系の学生であれば畑について聞いたり、建築系を学ぶ学生であれば建物について聞いたりしていました。また、同じ地区を2回以上担当したことがあるのですが、年によって異なる発見がありました。そのようなことも面白いと感じます。」

このようなことに面白さを感じ、伊藤さんは4年間活動に関わったそうだ。

<プロジェクトで生まれる交流>
伊藤さんは、イイトコ発見プロジェクトで生まれる交流は大きな魅力だと語る。

伊藤さん「十日間、他の大学生や住民の方と濃密に話すことは大きな魅力であると感じます。他大学の学生と一つの場所で料理など協力しながら過ごす中で、相手の内面も見えてきます。共同生活で皆で同じことをしている一方で、それぞれが違った興味で様々なことを考えているという、関わりの濃密さと多様性の両立、両輪が面白いところですね。活動には大変な面もあるんですがとても楽しいんですよ。」

伊藤さん「学生とのコミュニケーションで学んだことが住民の方との会話で活かされるという場面もありました。プロジェクト期間は毎晩活動内容についての振り返りの時間があります。その時間はポジティブなフィードバックをすることになっています。これを住民の方との交流でも実践しようとしていました。

また、それは今でも大切にしていることです。外部の人から良いと言われることはうれしいですよね。良いと思ったことは今も素直に伝えるように心がけています。皆さんにもぜひ、他の大学の学生や住民との交流を楽しんでほしいです。」

伊藤さん「私の場合、大学内だけでも地域に関連する活動を行うことはできました。しかし、大学内だけであれば考えが凝り固まってしまう面もあります。活動の中で出会う人との交流や、プロジェクトでの経験を通して自分の将来を見つけ出すのに役立ちました。地域で行われているプロジェクトに参加することで、普通の生活では巡り会うはずのなかった人と出会い、活動を通して自分のやりたいこと好きなことを見つけることが大学外に出る意義だと思っています。」

伊藤さん「多様な経歴や価値観の人と地域で過ごす十日間は、何物にも代えがたい価値があります。大学生の皆さんには、今できることを考えて各々取り組んでほしいです!」

多くの魅力があるイイトコ発見プロジェクトに、皆さんも参加してみませんか?

追手門学院大学地域創造学部  先田悠希
島根大学法文学部 勝部梨厘加